北風と太陽というお話は知っていますか?
北風と太陽が、旅人のコートを脱がせようとして競う話です。
北風は、ふーっと強い勢いの風で旅人のコートを脱がせようとしますが、旅人はむしろコートをしっかりと押さえてしまい、脱がせることはできません。
次に太陽はじりじりと照り付けたところ、旅人は暑さに耐えきれずコートを脱いでしまいました。結果、太陽の勝ちというオチです。
スマホを引き離すのは、もはや難しい。それは子どもだからとか、大人だからとか、あまり関係ないように思います。
意思が強ければ勉強中はスマホを封印することもできますが、そんな人ばかりではありません。
スマホが超絶便利な道具だということは、否定しようがありません。
これから紹介する本では、むしろ積極的にスマホを使って、勉強をはかどらせることができる方法が書いてあります。
スマホと脳は相性がいい?!
本書の最初にこんなことが書いてあります。
スマホが近くにあるだけで、脳は無意識のうちにスマホを使う準備をしてしまい、家電の待機電力と同じように、脳のワーキングメモリ容量をムダに使ってしまう
そうそう。鳴ってもいないのに、通知音が聞こえた気がする、画面が光った気がする、ってことありませんか?スマホを置いていても、いつでも反応できるよう無意識に待機してしまっているんです。
確かにこれはムダなエネルギー。勉強に集中しきれていません。結果、記憶力や思考力が低下してしまいます。
しかし、スマホをやめるのではなくて正しく使えば良いというのです。
スマホを上手に使いこなすことによって脳の機能が増設されるから、勉強の効率も飛躍的に上がるのです。
記憶力・思考力・集中力が上がる

本書はスマホ依存の人向けというわけではなく、ただ勉強にスマホをどんどん活用していこうという視点ですので、勉強をしているすべての人にとって参考になる話がたくさんありますね。もちろん仕事をしている人や主婦にも同じです。
副題にある通り、記憶力・思考力・集中力について、脳科学に基づいて解説してくれています。脳科学といっても、難しいデータや資料が出てくるわけではありませんので、中学生ぐらいでも読めると思います。
私も一応教育関係者の端くれですので、知っていることもいくつかありましたが、ぜひ実践してみようと思ったのは、「集中力の自己採点」です。
集中力とは脳のスピード。車でいえば移動距離ではなくて、単位時間当たりにどれだけ移動したかという「時速」に相当するものです。この脳のスピードメーターに該当するのが、「集中力の自己採点」で、今の自分の集中力の状態を知ることができます。
というか、この説明めっちゃ分かりやすい!これから生徒に説明するときに引用させてもらおう(笑)
で、話を戻すと、1時間勉強したら、集中力を5段階評価するんです。それをスマホで記録をとっていくと、一日の中で集中しやすい時間、一週間の中で集中しやすい曜日が見えてきて、効率よく勉強することができるんです。
いわゆる可視化というやつですね。
実はこういったアウトプットは、スポーツの世界ではよく知られていますね。その日の練習の終わりに、その日取り組んだこと、それに対する自己採点をノートに書きます。
私も塾での特訓や特別講義をした後には書かせていましたが、日々記録をつけていくことで「集中力アップ」「質の良い集中力」にフォーカスできそうです。
スマホとの付き合い方に悩む生徒、保護者、先生へ
筆者の吉田たかよしさんは医学博士・心療内科医師です。テレビ出演もされているので、顔が浮かぶ人も多いかな?話し方がユニークですね。
私と筆者には共通の体験があります。
ある生徒はスマホが原因で成績が落ちていたので、私は手っ取り早くスマホを取り上げようとしたことがあります。これはスマホ依存になっている人にとっては逆効果で、イライラして成績がさらに落ちたり、家で暴れたり、取り上げた人に暴言を吐いたりします。
じゃあスマホをうまく使って…と思うのですが、どうにもやり方が分かりません。たぶん全国の先生、親、子ども自身がこんな風に悩んでいるのではないでしょうか。
筆者も同様の壁に当たった結果、発想を転換してスマホを活用することにしたそうです。
吉田さんが院長を務めるクリニックで、通ってくる受験生たちで試して、実績が出た例を紹介してくれています。具体的に書いてくれているので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
では今日はこのへんで~。